私は学生時代から20代後半にかけて、空手の選手をしていました。

大会出場を間近に控えたある日、酷いけがをして脚を引きずりながら整形外科に治してもらいに行ったときのことです。
レントゲン画像を見ながら整形外科医は言いました。

「骨は大丈夫だから。湿布貼って様子見て」

試合があるので何とか治りませんか？と懇願する私に先生は一言

「オリンピックに出るんじゃないんでしょ」

あまりに無神経な物言いに私は一瞬言葉を失いました。

競技者にとって、出場する試合の価値はオリンピックも地方大会も同じです。
それにケガの治療にしたって、もう少しなんとかしようと思わないのかと腹が立ったのを今でも覚えています。

今ならあの時のケガは整形外科なら安静していろとしか言えないとわかります。
でも私はあのとき、治してほしかったのはもちろんですが、お医者さんにちゃんと私に向き合って、ケガについて話してほしかったんですね。


それから国家資格の柔道整復師免許を取得して今では治す側になりました。あのときの思いを忘れずに、患者さんにしっかり向き合って競技復帰のお手伝いをしていきたいと思っております。